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制御不能 ~lost control~ 2 【slow in fast out】

初めてのこと、初めてのもの、初めての人・・・・・・。

どこに行ってもいつでも初めてというものは退屈しない。

金色に輝く髪と深緑に潤む瞳のコントラストが何とも言えない輝きを放つ彼女。「天野 咲蘭」にとっても、それは、決して例外ではなかった。

初めてというものは出会いと言い換えることができる。

彼女にとっての出会い。始まり。

 

堂々とたたずむ1台の車。白く、鋭く、それは優しく彼女を睨みつける肉食獣のようだ。

彼女のその愛らしい瞳は一瞬のこわばりを見せるものの、徐々にその獣の姿を大きくしていく。

 

タイヤのついた車

政府によって規制され、その姿は学校等で使われる教科書。または、図鑑や事典でしか目にすることがないのである。

幸か不幸か彼女はあまり学校で勉強していない。

 

ーーかっこいいなぁ・・・・・・。ーー

 

深い深い森の洞窟の中

碌な生き方をしてこなかった彼女の純粋な気持ちが近づく

それは光に吸い寄せられる虫けらのようだった・・・・・・

 

そもそもの話になるのだが、なぜ彼女は人気のない遠く離れた洞窟の中にいるのだろうか?

夢遊病という症状をご存知だろうか?彼女の寝相はヤバい。

数年に1度、彼女はその症状により外に出てしまうことがある。今回はかなり酷い方だ。彼女の人生史上最高かもしれない。

 

数十分、いや、数時間ほどだろうか。その間ずっとその車を眺めていたのである。

ちょうど一日のうちで最も明るくなる時間帯になるころだ。彼女は我々の知る「ドア」の存在に気付いたのである。

シートに軽く腰掛ける。この後どのようにして帰るつもりなのだろうか・・・・・・?

いや、帰る必要があるのだろうか。

彼女にとっての親や友、ご近所さんなどはすべて退屈な存在。どうでもいいのである。

帰るという選択肢など最初からないのである。

少ししてから助手席の足元に1つの冊子が置いてあることに気付く。

 

ーーむぅ・・・・・・読めないぞ、これ・・・・・・ーー

 

しかし、その問題はすぐに解決する。

 

ーー絵が載ってるーー

 

とりあえず絵に示された通りにしてみる。

一番左のペダルを踏み、真ん中のペダルも踏む。

幸いにも鍵が刺さってあったので、それを回す。

その獣は咆哮する。深く低く唸る。

 

ーーんーと、どれどれーー

 

それはいわゆるアクセル。踏めば音が大きく、そして高くなる。

彼女はたちまちその音の虜になった。

どんどんその冊子を読み進めていく。

ついにその獣が動き出す。まっすぐと前を見据え動き出す。

ここまでくればその他の操縦も感覚でわかる。

その冊子の最後のページに描かれた地図のようなもの。

はたして、この道なき道はどこに続いているのだろうか。